カテゴリ:子ども佐賀新聞



2024/10/22
 このコラムの読者の方なら「情報(じょうほう)セキュリティー」という言葉を知っていると思います。パソコンなど情報機器を安全に使い、企業(きぎょう)や個人(こじん)の情報(財産・ざいさん)を守ることをいいます。皆(みな)さんにとって、もっとも身近な情報セキュリティーは「パスワード」ではないでしょうか? 皆さんが学校で使っているタブレットにも、パスワードが設定(せってい)してありますね。タブレットを使い始めたときに「誰(だれ)にも教えてはいけません」と教えてもらったと思います。  このパスワードの使い方について、アメリカの国立標準技術(ひょうじゅんぎじゅつ)研究所(NIST)が今年の8月末、「組織(そしき)はユーザーに定期的なパスワード変更(へんこう)を要求してはならない」という方針(ほうしん)を発表しました。皆さんのタブレットでは「定期的なパスワードの変更」がされることはないと思いますが、サービスによっては「定期的なパスワード変更」をさせられているところがあります。  もともとNISTがパスワードの漏(ろう)えい(もれてしまうこと)に備(そな)える意味で「定期的なパスワード変更」を呼(よ)びかけていたのですが、2017年6月に「サービス提供(ていきょう)者はパスワードの定期変更を要求すべきでない」と発表したのです。定期的に変えるためにパスワードが簡単(かんたん)になってしまう危険性(きけんせい)が高いからという理由でしたが、それまでの常識(じょうしき)を完全に否定(ひてい)するもので、世界中がびっくりしてしまいました。  皆さんも成長するにしたがって何度もパスワードを設定すると思いますが、同じパスワードを使いまわさないことが一番大切です。 (ITサポートさが・陣内誠)
2024/09/24
 新聞やテレビの報道(ほうどう)によりますと、オーストラリアで「子どものSNS利用を制限(せいげん)する法律(ほうりつ)案」が年内に提出(ていしゅつ)される予定とのことです。年齢(ねんれい)制限については14歳(さい)を中心に検討(けんとう)されるそうです。SNSの使用年齢については、アプリごとにガイドラインが決まっていて強制(きょうせい)力がありませんでしたが、法律ができると何かの罰則(ばっそく)が生じる可能性(かのうせい)があります。  子どものSNS使用について法律で制限を加えようとしているのは、オーストラリアだけではありません。アメリカの一部の州やフランスなどではすでに似(に)たような法律が運用されています。世界中で子どもたちのSNS使用が心配されているのです。  そのような状況(じょうきょう)の中、国立研究開発法人国立精神(せいしん)・神経医療(しんけいいりょう)研究センターと東京大、公益財団(こうえきざいだん)法人東京都医学総合(そうごう)研究所(けんきゅうじょ)の研究グループが「思春期におけるインターネットの不適切(ふてきせつ)使用が精神病症状(せいしんびょうしょうじょう)および抑(よく)うつのリスクを高めることの関連」という論文(ろんぶん)を発表しました。その内容(ないよう)を簡単(かんたん)にまとめると「10歳、12歳、16歳時点でのインターネットの不適切使用と16歳時点での精神症状と抑うつの関係性を因果推論(いんがすいろん)の手法で分析(ぶんせき)した結果、インターネットの不適切使用が『社会的ひきこもり』や『16歳時の精神症状』を増加(ぞうか)させる」ということです。  保護(ほご)者の方がこのリスクを意識(いしき)するのはもちろん「今日のあなたのネットの使い方が、未来のあなたに大きな影響(えいきょう)があること」をあなた自身が意識しなければいけないのです。 (ITサポートさが・陣内誠)

2024/08/27
 暑かった8月もあと数日で終わりです。地域(ちいき)によっては学校が始まっているお友だちもいることでしょう。楽しい夏休みを過(す)ごせましたか?...
2024/07/23
 私(わたし)が所属(しょぞく)する「ITサポートさが」では、全国の子どもたちと子どもを取(と)り巻(ま)く大人の人からの相談を受ける窓口(まどぐち)を設置(せっち)していますが、「自画撮(ど)り被害(ひがい)」にかかわる相談が後を絶(た)ちません。夏休みでスマホに触(ふ)れる機会も増(ふ)えると思うので「自画撮り被害」に関する注意喚起(かんき)を行います。  「自画撮り被害」とは、だまされたり、おどされたりして子どもたちが裸(はだか)の写真を送ってしまう被害のことで、SNSを通じて知り合った人から要求されているケースが大半です。「同性(どうせい)だと思っていた」とか「信頼(しんらい)していた」とか理由はさまざまですが、相手に渡(わた)してしまった画像(がぞう)を取り返すのは、ほとんど不可能(ふかのう)です。ですので、絶対(ぜったい)に画像を渡してはいけません。そもそも18歳(さい)未満の子どもに性的(せいてき)な画像を要求することは児童ポルノ禁止(きんし)法で禁止されています。「個人情報(こじんじょうほう)をばらまく」などとおどされたからといって相手の言うことを聞いてはいけません。すぐに大人といっしょに警察(けいさつ)に行きましょう。  今年の5月末から「TakeItDown」という仕組みの日本語対応(たいおう)が始まりました。この仕組みは、18歳未満の性的画像の拡散(かくさん)を防(ふせ)ぐために、アメリカの民間非営利団体(ひえいりだんたい)のNCMECがMeta社に資金提供(しきんていきょう)を受けて開発・運営(うんえい)しています。Meta社はインスタグラムやフェイスブックを運営している会社です。子どもを守る仕組み作りが世界中で始まっていますが、一番大切なのは、本当に信頼できる大人に「助けて」と言うことです。  あなたは「助けて」と言えますか? (ITサポートさが・陣内誠)

2024/06/25
 6月8日にKADOKAWAグループのサーバー群(ぐん)が大規模(だいきぼ)なサイバー攻撃(こうげき)を受けて、サービスがいくつか止まっています。はじめのうちは、すぐに復旧(ふっきゅう)するだろうと思われていたのですが、14日の時点でも復旧していないサービスがいくつかありますし、攻撃の詳(くわ)しい内容(ないよう)も分かっていませんでした。  被害(ひがい)の中でも代表的なのが「ニコニコ動画」です。小学生の皆(みな)さんには、なじみがうすいかもしれませんが、画面の前を「キターーー」とか「88888888」などの文字が流れる配信動画を見たことがある人も多いと思います。  また、人気歌手の米津玄師(よねづけんし)さんがアマチュア時代にボカロP(音声合成ソフトを使って音楽を作る人)として活動されていたことなども有名です。YouTubeとは少し違(ちが)う独自(どくじ)の雰囲気(ふんいき)があり、根強い人気を持っているサービスだったので、心配している人もたくさんいます。  更(さら)に騒(さわ)ぎを大きくしたのは、「ニコニコ動画」を運営(うんえい)するドワンゴが、日本を代表するIT企業(きぎょう)の一つだったからです。ITを専門(せんもん)に扱(あつか)っている企業でもサイバー攻撃に耐(た)えられなかったことに驚(おどろ)かされた人は多かったようです。  こういった騒動(そうどう)の後で私(わたし)たち個人(こじん)ユーザーが気をつけなければいけないことが、KADOKAWAやドワンゴを装(よそお)ったフィッシング詐欺(さぎ)です。サーバーが復旧したころに、「IDとパスワードを再設定(さいせってい)してください」という詐欺メールが出回ることが予想されます。もちろん正式な案内がある可能性(かのうせい)もあるので、見極(みきわ)めることが大切です。 (ITサポートさが・陣内誠)
2024/05/28
 もうすぐ5月も終わりですが、ネット関連のトラブルの多い月だったなぁと心配しています。...

2024/04/26
 皆(みな)さんは、「IoT」という言葉を聞いたことありますか? 「Internet of Things」の略(りゃく)で「モノのインターネット」と訳(やく)されます。家電製品(せいひん)や車など、さまざまな「モノ」をインターネットとつなぐ技術(ぎじゅつ)のことです。外出先から遠隔(えんかく)操作(そうさ)ができるエアコンや掃(そう)除(じ)機、食材の減(へ)り具合を知らせてくれる冷蔵庫(れいぞうこ)、部屋で留守番(るすばん)しているペットの様子を確(かく)認(にん)できるカメラなど、私(わたし)たちにとっても身近な存在(そんざい)になっています。最近注目されているEV(電動車)も、インターネットに接続(せつぞく)しているのでIoT機器といえます。  IoT機器は、インターネットを利用することでとても便利に使えるのですが、インターネットに接続することによる危険(きけん)性(せい)も否定(ひてい)できません。今年の3月末「東京の小学校と保育園(ほいくえん)の2カ所で、ウイルスに感染(かんせん)したWEBカメラが発見された」と佐賀新聞(さがしんぶん)でも報道(ほうどう)されました。「インターネットを通じて外部から操作ができるようになっていて、他のサーバへの攻撃(こうげき)の道具に使われたり、盗撮(とうさつ)の道具にされていたりした」そうです。  身近になったIoT機器ですが、個人(こじん)で使うときに気をつけるべきことは何でしょうか?  一番大切なことは、サポート体制(たいせい)がしっかりしたメーカーの機器を信頼(しんらい)できる所から購入(こうにゅう)することです。次に大事なことはIoT機器のIDとパスワードの管理、それから使用しなくなったときは電源(でんげん)を切りインターネットに接続できないようにすることです。  一人ひとりが気をつけて安全なインターネット環境(かんきょう)を守っていきましょう。 (ITサポートさが・陣内誠)
2024/03/26
  楽しい春休みを過(す)ごしていることでしょう。ただ、みんなが浮(う)かれてしまうせいでインターネットトラブルを呼び込む原因(げんいん)になる行為(こうい)も増(ふ)えています。特に新しい学校に進学する予定の人が、SNSで「4月から〇〇学校です。よろしく」とか「フォロワー募集(ぼしゅう)中です」など不特定の人に向かって発信しているのが気になっています。  またフォロワー数を増やすために、友達同士でお互(たが)いに「この人をフォローして」と宣伝(せんでん)し合うケースが増えるのも、この時期です。確(たし)かにお互いに宣伝し合うと、より多くの人の目にとまる可能性(かのうせい)が高くなるとは思いますが、不届(ふとど)き者の目にとまりやすくなるということも分かってほしいです。昔はテレビで「友達の友達は、皆友達だ」と言っていた人がいましたが。SNSが発達した現代(げんだい)では「友達の友達は、知らない人」という意識(いしき)が必要なのです。知らない人に自分の個人情報(こじんじょうほう)を渡(わた)す危険(きけん)性を理解(りかい)してほしいと思います。  今月、警察庁(けいさつちょう)が「子供(こども)の性被害(ひがい)」に関する2023(令和5)年の統計速報(とうけいそくほう)を発表しました。その中の「SNSに起因(きいん)する事犯(じはん)」の「学職別被害児童数の推移(すいい)」を見ると、高校生の被害者数は減(へ)っているのにも関わらず、小中学生の被害児童数が増加(ぞうか)しているのです。簡単(かんたん)にいうと小中学生が狙(ねら)われているのです。狙われているのに「フォローして」と発信するのは、非常(ひじょう)に危険です。  統計の詳(くわ)しいデータについては「警察庁 なくそう子供(こども)の性被害」で検索(けんさく)してください。 (ITサポートさが・陣内誠)

2024/02/27
 「サイバーセキュリティ月間」というのを知っていますか? 今年は2月1日から3月18日までが、この月間として日本中の人々が力を合わせて、サイバーセキュリティーの啓発(けいはつ)活動を行っています。...
2024/01/23
 今年は元日から大きな地震(じしん)が発災(はっせい)し、SNSを使用した偽情報(にせじょうほう)の拡散(かくさん)が大きな問題になりました。被災(ひさい)した人のふりをしてSNSに「助けてください」と投稿(とうこう)して救助作業の邪魔(じゃま)をしたり、東日本大震災(だいしんさい)の津波(つなみ)画像(がぞう)を投稿して不安をあおったりしていた投稿のことです。あまりにもたちが悪いので、岸田首相(しゅしょう)が年頭の記者会見で「実在(じつざい)しない住所や、あるいは無関係の画像で救助を求める、こうした情報など、事実に基(もと)づかない不確実(ふかくじつ)な情報がSNS上で拡散している(略(りゃく))。こうした悪質(あくしつ)な虚偽(きょぎ)情報、これは決して許(ゆる)されるものではなく、(略)厳(げん)に慎(つつし)んでいただく必要がある」と訴(うった)えるほどでした。  Xを使った偽情報が増(ふ)えた理由について「広告収益(しゅうえき)分配プログラム」を利用したお金稼(かせ)ぎではないかといわれています。人の不幸や人を助けたいという気持ちを利用してお金を稼ごうとするのは許されない行為(こうい)です。他にも募金(ぼきん)を呼(よ)びかける怪(あや)しいサイトなどもあったので、ちゃんと被災地に届(とど)けられるか確認(かくにん)する心がけが大事です。  また善意(ぜんい)から偽情報を拡散する事例も見られました。残念なことに災害(さいがい)時には「火事場ドロボウ」と呼ばれる人々が出没(しゅつぼつ)しますが、通信会社の災害復旧(ふっきゅう)作業車両がこれに間違(まちが)えられて拡散されるなどの混乱(こんらん)も起こっていたようです。  これまでに何度もお話ししていますように、災害時にはどの情報が真実か見きわめる目と落ち着いた情報発信が大切になります。お互(たが)いに気をつけて過(す)ごしましょう。 (ITサポートさが・陣内誠)

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